◇競馬記者(トラックマン)の仕事

競馬における「想定外」

久々の更新だ(笑

少し前に「想定外」という言葉が流行ったが、この言葉を聞いて競馬記者時代を思い出した。説明すると、厩舎取材記者の仕事に、「想定作り」という重要な役割があって、これは、平場(特別レースではないってこと。1~8と12R)のメンバーの出馬投票が行われる金曜日に向けて、出走予定馬を厩舎関係者に取材して回ることを指す。
今はどうかは知らないけど、ニシムラが競馬記者をしていた2000年ぐらいは、事前に発表されるのは「特別レース」のみ。いわゆる、『週刊競馬ブック』や『ギャロップ』などに掲載されてるレースだけ。だけど、レースは「特別戦」ではない「平場」や「障害」のレースもあり、全ての出走馬に対して平等に取材をする必要がある。

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競馬専門紙の違った読み方

馬券ファン諸兄の馬券検討の際に、
座右に置かれている予想紙はなんであろうか。

日刊紙(スポーツ紙)?
それとも専門紙?
それとも、何にもなし?

「専門紙は高いから、日刊紙を愛用している。
値段にして、4倍近くも違うし、内容的にも
ほとんど変わらないから…」
とお思いの皆さん。

それは、ハッキリ言って間違いである。

なぜなら、競馬専門紙には日刊紙にはない、
「珠玉の情報」がドッサリと詰まっているのだから。


その理由を例によってツラツラツラと書きつらねてみよう。


絶対的な記者の頭数が少ない日刊紙が、
専門紙には絶対に適わない、唯一のもの。

それは、「厩舎談話」である。

日刊紙の取材活動はどうしても、メーン中心になり、とてもじゃないが、
特別レース以外の平場レースまでは、綿密な取材が行き届かない。

日刊紙の特別以外のレースの情報が、
馬柱とおざなり程度の追い切り時計に終始しているのは、
そのためである。

だが、専門紙は綿密に陣営にアタックをかけて取材を行なうので、
全出走馬の談話が新聞紙上に登場する。


とは言え、
ここで気をつけてほしいのが、その内容。

「前走は馬体が太かった」
という今走の談話があったとする。

しかし、その前走の談話を引っ張り出すと、
「馬体は絞れて、走る気が出てきた」
と書いてあった。

思わず、「絞れたて言うとるがな! ボケッ!」
と突っ込みたくなるが、
談話というのは「そういうもの」なのである。

書いてはいけないネタというものが少なからず存在するので、
その点はマスコミ商売を責めることはできない。


では、専門紙の「珠玉の情報」とは何なのだろうか?

それは、厩舎に取材に行っているという「事実」そのものである。

取材記者の中でもベテランの部類に入る人は、
書いてはいけない「本音」の情報を少なからず入手している。

当然、一般的なファンがそれを知ることはできないが、
微かでも、その情報をキャッチする方法がある。

それが、その担当記者の「印」というわけだ。

言うまでもないが、印とは新聞の馬柱(成績欄)に載っている、
例の◎○▲△注×× など。

では、なぜ「印」で本音の情報をキャッチできるのか?

それは、記者の本音は談話原稿ではなく、
「印」に表れるからだ。

談話にベールはかぶせても、「印」にベールはかぶせられない。
競馬記者とはそういう人種なのである。
回収率の問題もあるしね。


例を挙げてみる。

2、2、2、2着ときた未勝利馬がいたとする。
今走も調教で変わりない動きをしていれば、当然1番人気。
馬柱を見ても、ほとんど全員が「◎」の場合。

しかし、厩舎担当の記者だけが「△」なら、どうする?
あるいは「×」ならば、どうだろうか?

こういう時にこそ、疑ってかかることをお勧めしたい。

もしかしたら、疲れが出ているかもしれない。
もしかしたら、ソエが出ているのかもしれない。
そして、その情報を種々の理由で外に出せないかもしれない…
からである。

もちろん、狙い過ぎて外す場合もある。
担当記者が深読みし過ぎて、実際はそうではないのに、
そうだと決めつけてしまうチョンボである。
(私もよくやった)

そんなニセ情報を、間違って我々がキャッチしてしまったら、
目も当てられない結果が待ち受けていることだろう。

それゆえ、
これまで以上に情報の取捨が厳しくなることは言うまでもない。

だから、思い込みの激しい方などは、
こんな見方もあるのだな…ぐらいに考えた方がいいかもしれない。


「どの記者がどの厩舎を担当しているか分からない」
という人は、記者のコラムを読んでみよう。

追い切りが…と書いている人は調教班。
陣営が…と書いている人は厩舎班である。

その場合は、
その馬の所属厩舎=担当厩舎と思って、間違いはないだろう。


例によって当たるかどうかの保証はしないけど、
頑張って、いい情報を探して下さい。
面白い話があったら教えてね。

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「絶好調ってなんやねん!」 心に残った一言 その1

記者時代、とある厩舎で晩飯をご馳走になっている時に、
とある厩務員さんにポロっと言ってしまった一言。
              ↓
「追い切りの動きを見た感じでは、絶好調ですねぇ」


動きの良さを褒められ、悪く思う人はいないだろう、
という先入観から、

ヨイショするつもりで何気に言ってしまった一言。


それが厩務員さんの逆鱗に触れた。

「お前なぁ、絶好調って何やねん」
と激しく怒る厩務員さん。

「いや、動きが良かったもんで、その…」
と、しどろもどろになる私。

そこへ、

「いいか。絶好調っていうのは、
馬の一生で1度しかないものやねん。
そんな簡単に絶好調にさすな!」

と強烈な一言。

当然、記者になりたての私は、何も言い返せなかった。

と同時に、その言葉を胸に叩きこんで、取材活動に励もうと…。

「記者時代の心に残る一言 その1」…でした。

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トラックマン(競馬記者)の一週間って興味ある?

知られているようで、意外と知られていない
トラックマン(競馬記者)の仕事内容。

当たらない予想だけしてると思われては可哀想なので、
簡単ではあるがつらつらと書き垂れてみたい。

まずは、トラックマンの仕事を週単位で見てみよう。

月曜日 

日曜日に競馬場に行くので、基本的には休み。
大概の人は『競馬ブック』を買って、
気ままに予想、そして仕事の下準備をする。

ここでキーワードになるのが、『競馬ブック』だが、
特別登録馬の馬柱、ローテーションが克明に記してある同誌は
トラックマンの間では、仕事に欠かせぬ、まさにバイブル。

競馬関係者は、トラックマンから厩舎人まで、、
競馬ブックを持っていないのは、皆無といっていいほどの浸透度で、
私も例に漏れず、肌身離さず持っていました。

残念ながら、『ギャロップ』には
仕事に使えるほどの、データ量がない。
もっとも、手軽な競馬の読み物としては、
こちらの方がいいという人は多いのだが・・・。

月曜日は、調教馬場も閉鎖しており、
取材に訪れる人は熱心な日刊紙の記者ぐらい。

火曜日

この日も基本的には休みだが、
水曜日は早朝から調教があるので、早く寝ないといけない。
トレセンの近くに居を構えていない人は、
この日の夜に栗東にはいる。

早い追い切りは、水曜日にかけるのが通例だが、
調教馬場は火曜日から開いている。

時計を採る必要がないので、馬をゆっくり見れる日ではあるのだが、
毎日新聞を発行する日刊紙の記者を除いて、専門紙の記者でも、
こういう日に顔を出す人は少ないようだ。(もったいない・・・)
とはいえ、中には、熱心な人もいて、火曜日から馬をチェックしている。

覚えている限りでは、
キンキの田中氏、ニホンの前川氏、
エイトの高橋、ファンの河野氏ってところ
高橋はまだ出てるかなー、出ててほしいけど。

水曜日

追い日(早い追い切りをかける日)である。
調教担当のトラックマンにとっては、勝負の日とも言えるだろう。

とはいえ…、
あまりにも大量に追い切りがかけられるため、
時計を採りながら、馬の状態を判断するのは至難の業。
経験に裏打ちされた反射神経が要求される場面だ。

仮に火曜日に出ていれば・・・・、その有利さは語るまでもないだろう。

木曜日

この日も追い日。水曜日ほどの強烈な数はこないため、
割とじっくりと馬を見れる。

強い追い切りをかけて、どう変わったか・・をチェックするのである。

金曜日

新聞作成日。土曜日版を作る。競馬専門紙は時間との戦い。
早く駅の売店に並べなければならいので、戦争のような状態になる。

仮に、一番人気になりそうな馬は取り消した場合は地獄。
私の経験では、マーベラスサンデーが取り消した
京都大賞典(記念? 忘れた)はマジで辛かった。
何せ、本紙の見解から、コラム、コメントの書き直し
・・・・・などなど、本当にしんどい。

土曜日

新聞作成日。日曜日版を作る。
それが終わると、競馬場で観戦。一喜一憂して、楽しい時間ではあるが、
週刊誌を作っている社は、レース毎にインターと呼ばれる、
騎手(調教師)へのインタビューをしなければならない。

人気で負けた騎手はあまり話したがらないので、
結構、大変な作業だそうだ。(やったことがないけど)

日曜日

新聞を作らない以外、土曜日といっしょ。



さて、競馬記者の大まかな一週間が分かったら、
次は、競馬記者の仕事内容に移ろう。

まず、競馬記者は大きく分けると、2種類の職種とに分けることができる。

それが、

1、日刊紙の記者(スポーツ新聞)
2、専門紙の記者(ブックとかエイト、サイエンスもここだったりする・・・)

なのだが、まずは職種の違いについて説明しよう。


まず、日刊紙の記者だが、
彼(彼女)らは火曜日からトレセンに入り、
その当週に出走する馬の周辺取材にはげむ。

読者の興味をひく、馬券的な穴馬を取り上げねばならないため、
どうしても取材の方向性が個人の思い込みに片寄ってしまうのが
難点と言えるだろう。

とはいえ、毎日発行させる新聞に情報を送り続けねばならないため、
しんどいことは間違いない。(よく知らないけど))


一方、専門紙の記者は、その役割に応じて、
想定班と調教班の二種類に分類される。

想定班の仕事内容は、
各厩舎の担当者が関係者に当週の出走予定馬(想定馬)を取材して、
水曜日の段階で想定表と呼ばれる出走馬の予定表を作成すること。
編集部はこれを基にして、皆さんもよく知っている馬柱を作成し、
本番の出馬投票日に備えるというわけだ。

また、想定班のもう一つの仕事が、
出走馬に対する関係者のコメントを取材する談話取りである。
無口な調教師、マスコミ嫌いの調教助手、
すぐいなくなる騎手などがいるので、
想定班のストレスの溜まりかたは半端ではない。

調教班の仕事は、
馬の追い切り時計をストップウォッチで計る採時作業と、
動き・馬体・気配から、馬の状態に関する評価を下す調教診断の二つ。
ただし、相馬(馬を見る)に関しては、大概が我流、
当てにならない面があるので、ご注意を。



思いつく限りを書いてみたが、まだまだ、書き足りないところが、
あるので、その内、個々の仕事内容をもっと掘り下げた続編を書きます。
いずれね・・・・

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故大川慶次郎さんについて思うこと

競馬の神様・大川慶次郎さんが、本当に神様になってしまった。


私が生で故大川慶次郎さんを見たのは、後にも先にも一度だけ、
マヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデーで決まった、
あの春の天皇賞のときだ。

関西有力馬の水曜日追い切りを見るために、
栗東トレセンまで足を運ばれた折の、
一瞬だけの遭遇だったのだが、
それでも、この人が神様と言われる理由の一端を
感じ取ることができた。

身にまとうオーラが、厩舎(競馬)人、そのものだったのである。

競馬記者はこの世にごまんといるが、これほどまでに、
馬寄りのオーラを醸し出している人を、
私は大川さん以外に見たことがない。

記者というより、調教師、それも伯楽といわれる、クラスの
方々に見えて仕方がない。

私が競馬を始めた時から、
何一つ変わっていない外見、発言、そして説得力。

年齢を考えても、鬼籍の人となるのは、早過ぎる気がする…。残念。
あの名調子がもう聞けないと思うと、本当にさびしい限りだ。

競馬の神様・大川慶次郎さんのご冥福を、
心からお祈り申し上げます。

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競馬記者になりたい人へ…向いてる人、向いてない人

競馬記者に必要な要素ってなんだろうか。
思いつくまま、適当に挙げてみた。



1、聞き上手な人

これは厩舎回りには必見。話たがりの関係者もいることはいるが、
マスコミを敬遠(毛嫌い)している人が多いのも事実。そういう人から、
ネタを引き出す商売だけに、無口な人間には向かない仕事だろう。


2、忍耐強い人

 「今回は走る!!」と言われ、
信用して馬券を買ったはいいが、負けたらどうするか?

ムっとして怒る? 
違う。

笑顔で、「いやー、惜しかったですね」と、
何もなかったように振舞うのが正解。
結構、我慢強くないと、やってられないかも。


3、柔軟な意見を持っている人

馬を見て、話を聞き、そして考えるのが仕事。
一般の競馬ファンでは通れないプロセスを経て予想を組み立てることが、
競馬記者のプライドとも言える。

事前の予想を頭から信用して、
週の仕事をその証拠固めにしてしまっては、
新しいものが見えてこない。


4、酒が飲める人

厩舎関係者と付き合いたいなら必須。
かくいう私は、酒が全く飲めず、色々と損をした経験がある。


5、カッコよく当ててやろうとは思わない人

週初め、月曜日に発売される週刊誌を読めば、
大体の人気の傾向が分かる。

ただし、それを見て、
「印が多いから外して、こっちの人気薄を本命にしよう」
などと思っている勘違い「穴馬券士」が非常に多い。

論外。
こういう奴らの予想は見る価値なし。


6、競馬が余りなしに、割り切れると思わない人

レース結果を自分の考えだけで割り切れると思ってはいけない。

例えば、
新聞を読めば、「飼い葉食いも旺盛で、体調は文句なし」
と書かれている人気馬の馬体重が10キロ減っていたらどう思う?

「飼い葉食ってるし、調教もちゃんとしてるから、問題ない」と思うか。
それとも、「何かおかしい」と思って外すか。

「馬券」的には、どちらかが正解。

しかし、
「競馬」的にはどちらも不正解。

なぜなら、本当の理由は、
「飼い葉食いが旺盛で体調もいい人気(になりそうな)馬が、
調教中に放馬し、調教コースを突っ走って、
ここを使って放牧に出すつもりで出走させたから」
だからだ。


7、「素人」であることの自覚がある人

「馬券」のプロ(自称、他薦)は結構いるが、
こと「競馬」のプロはトレセンか牧場にしか存在しない。

とある雨の日のこと…

雨ガッパを着て、追い切りをつけている騎手がいた。
私を含め、ほとんど誰も、その騎手が誰だかわからない。

その時、記者席の後ろで見ていたのが、Y騎手。

「みーさん(南井さん)だよ。追い方でわかる」
と一言。

「やるなー」と言いつつ、
記者たちの笑いがひきつっていた。

…敗北感…














8、以上の意見を読んで、「なるほど」と思わない人。

ちょっとひねたぐらいが、丁度いいってことで。

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